上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top ▲
お題「垣根」「アヒル」「祭り」

う~ん。

こういうのを書くのは、あまり好きではないんだけど、浮かんだから仕方ないよね。

何とも言えないなぁ。

というか、前回に引き続き、こういうジャンルになっているのは問題だな。

次は違った感じが出せるようにしなくては。

では、どうぞ。
夏祭り。

毎年地元で行われるそれ。

必ず年に1回あるので、思い出は徐々に積み重なっていくのだが、

その中で一際深く印象に残っている年がある。

それは、数年前のあの夏祭りだ。



~~~



彼女は僕の幼馴染だった。

幼稚園のころからずっと一緒で、格好悪いところも、格好良いところも全部知られている。

また僕も彼女のことをよく知っているつもりだ。

友情とも恋心とも知れない、奇妙な関係。

それが僕たち二人の関係だった。




残念ながら、その年もお互いに恋人らしい恋人もできず、昨年と同様に二人で夏祭りに出かけることにした。

気心の知れた仲だ。

とても楽しい時間を過ごすことができた。

彼女も終始にこにこしていたし、もし仮に、これを“デート”と呼ぶならば大成功だっただろう。

残念ながら、僕らはただの幼馴染に過ぎなかったのだが。

そう――。

あの瞬間までは。



~~~



祭りも終盤に近づき、そろそろ帰ろうかというとき、ふと彼女の足が止まり、目が留まった。

射的の商品に注目しているらしい。

とても小さな、ひいき目に見ても可愛いとはいえない人形。

だが、彼女はどうもそれが気に入ったらしい。

ただ彼女はこういったことは苦手中の苦手である。

運動神経の問題なのか、それとも経験が浅いせいなのか。

彼女はいわゆるゲームの類が非常に不得手であった。

屋台の店主も、彼女のそわそわする様子と不安な瞳を見て、それを見抜いたのかもしれない。

もしかすると、いいカモ(注1)だと思われたのかもしれない。

「お嬢ちゃん、やってみるかい?」

彼女はこくりと頷くと、例の人形を狙って一発。

もちろん、弾はかすりもしなかった。

彼女は、小さく唸って再び構える。

その姿を見て、手を貸そうと思ったのはごくごく自然だと思う。

彼女の手から銃を奪うと、狙いを定めて撃ちつけた。



この場面で格好つけられないほど、僕は天に見放されているわけではなかった。



~~~



帰り道。

彼女は心底嬉しそうにしていた。

僕も気分が良かったし、浮き足立っていたことを否定はできない。

祭りの音は、遠く、かすかに聞こえる。

もしかすると、これは祭りが持つ一種の魔力のせいなのかもしれない。

そう思えるくらい、僕らは祭りによって何らかの効果をもたされていた。




僕は、幸せな笑顔を浮かべて人形を抱きしめる彼女を、抱きしめた。




小さな悲鳴が聞こえたが、抵抗はなかった。

彼女のぬくもりを、腕で、胸で、身体全体で感じる。

思ったよりも弱々しい身体。

当然のことながら、彼女も女の子なんだと認識された。

僕の鼓動なのか、彼女の鼓動なのか。

ばく、ばく、という音が僕の耳をこだまする。

彼女はじっと、僕の腕の中で“何か”を待つ。



友情とも恋心とも知れない、奇妙な関係。



唇が重なった瞬間、僕らはその垣根を越えてしまった。



~~~



一度、越えてしまえば、もう元に戻ることはできない。

気恥ずかしくて、相手の顔を素直に見れない時間が増えた。

これまでどのように接していたかが分からない。

必然的に、ぎくしゃくとした関係になってしまう。

小さなひずみは、やがてひびになる。

ひびは裂け、大きな穴が開く。

それを塞ぐには、相当の力がいった。





僕の腕には、思いのほか弱くて小さい彼女を抱きしめる程度の力しかない。





だから、僕には――。

それだけの力で充分だということに、当時の僕はどうしても気づけなかった。



~~~



果たして、開いた穴は塞がらないまま、彼女とは別の道を歩むことになった。

僕らはいまや大学生。

地元の大学に進んだ彼女と、地元を離れた僕。



今更ながらに後悔する。

なぜ、あのとき僕は――。





もはや後の祭りである。



完。


(注1)いいカモ(sitting duck)


banner2.gif にほんブログ村 小説ブログへ
スポンサーサイト

2009.04.07 Tue l 三題噺 l COM(0) TB(0) l top ▲

コメント

コメントの投稿












       

トラックバック

トラックバックURL
→http://hungry1spice.blog25.fc2.com/tb.php/97-c332edaf
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。