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お題「毒薬」「狸」「食べる」


狂言 の「附子」にインスパイアを受けたことは否めない。

そういう話。

では、どうぞ。
ある寺に師匠と3人の坊主がおりました。

3人の坊主は、それぞれ怠け癖のある坊主、お調子者の坊主、人当たりの良い坊主といった具合でございます。

ある日、3人の坊主は師匠が1人だけこっそりと“お菓子”を食べているのを目撃します。

坊主たちは師匠から貧相な食事しかいただいておらず、お菓子など口にしたこともありません。

そこで坊主たちは師匠に請願いたしました。

「お師匠様。私どもにもあの“お菓子”を分けてはいただけないでしょうか」

すると、師匠は答えます。

「何を言うか。あれはお菓子ではない。“毒薬”じゃ。最近、寺の周りを狸がうろついておってな。そやつに食わすために用意したものじゃ。断じてお菓子などではない」

しかし、そう言われても坊主らは信じません。

何せ彼らは師匠がそれを食べているのも目撃しているのです。

あれが毒薬なはずはありません。

そこで、坊主たちは考えます。

どうすれば、あのお菓子を食べることができるでしょうか。

さて、1人の坊主が提案します。

「では、こうしたら、良いのではないか」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



1人目の坊主は、怠け癖のある坊主です。

修行をさぼり眠りこけておったところを師匠に見つかってしまいました。

師匠は当然怒ります。

「これ、何をやっておるか。修行の最中ではないか」

言われた坊主はすぐに切り替えしたのでございます。

「いえ、お師匠様。決して寝てはおりません。私、狸寝入りをしておりました」

「なんと?」

「狸寝入りでございます。私もどうやら狸の様子。ぜひとも例の“毒薬”をいただきたいと存じます」

「むむむ」

言われた師匠。

返す言葉もなく、その坊主にお菓子を分けてやりました。

もらった坊主はほくそ笑み、お菓子を美味しくいただきました。





2人目の坊主は、お調子者の坊主です。

師匠に向かって、こう言います。

「かの坊主にお菓子をあ“ ”え“ ”と聞きまし“ ”。どうか、わ“ ”しにもい“ ”だけませんか?」

「いったいお前は何を言っておるのだ?」

「はい。先ほどの言葉は“た”抜き言葉でございます。すなわち、私も狸の様子。ぜひとも例の“毒薬”をいただきたいと存じます」

「屁理屈ではあるが、なるほど確かに狸であろう」

師匠はまた、お菓子を坊主に与えました。

もらった坊主はほくそ笑み、お菓子を美味しくいただきました。





はてさて、残るは人の良い坊主。

彼がどんな手で来るか、師匠は気が気でなりません。

しかし、いくら待っても音沙汰なし。

師匠は思わず例の坊主に訊ねます。

「他の坊主はお菓子をねだりに来たが、お前は来ない。いったいどういう了見か。巧いとんちが浮かばぬか?」

「いえいえ、お師匠様。そんなことはございません。なぜなら例の2人にとんちを与えたのは私でございますゆえ」

「なんと?」

「かようにすれば、お師匠様はお菓子を分けてくださる、と彼らに助言した次第でございます」

それを聞いた師匠は、お菓子を坊主に与えました。

もらった坊主は丁寧にお礼を言い、お菓子を美味しくいただきました。





師匠は最後につぶやきます。

「人の良さそうな顔をしてやりおる。奴こそ、とんだ狸ではないか」



お後がよろしいようで。



完。


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2009.02.13 Fri l 三題噺 l COM(0) TB(0) l top ▲

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