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お題「PSP」「ビリヤード」「フロッピーディスク」


うん。

PSPって伏字にしなくて良いの?

まぁ、良いや。

問題あったら対応します。

では、どうぞ。
「これ、なんですか?」

「ん? ああ、それ……? なんだろう。開けてみたら?」

パソコン部、部室。

後輩は掃除中に見つけた不審な箱を手に先輩に問いかけた。

先輩の方は不要なパソコンの処理に忙しいらしく、特に箱には興味を示さなかった。

「おお?」

後輩がそれをあけると、中には大量のフロッピーディスクが入っていた。

「先輩、フロッピーです」

「フロッピー? ああ。じゃあ、処分にしようか」

「処分ですか?」

「ああ。バラバラにして分別……って面倒くさいな。脇にでも置いておいて、また後でやろうか」

「分かりました」

後輩はその箱を脇に置こうとし、ふと1つのフロッピーに貼られているラベルが気にかかりその手を止めた。

「体……? 体験か。体験RPG?」

汚れた読み難い文字を解読し、後輩はそのフロッピーを手に取った。

「確か、まだフロッピーが使えたパソコンが……」

そのまま目的のパソコンに向かい、起動する。

「おいおい。何やってんだ?」

「いえ。ちょっと……」

「ん?」

先輩が近づいてきて画面を覗き込んだ。

起動したパソコンにフロッピーディスクを挿入する。

ゆったりとしたローディングののち、画面がブラックアウトした。

「あれ?」

「ウィルスか何かだったんじゃないか?」

「そうですかねぇ」

後輩が後ろから覗き込む先輩を振り返ったときだった。

「お?」

先輩が声を上げ、画面を指差した。

慌てて後輩も向き直る。

「なんでしょう、これ」

「さあ? とりあえず触ってみるか?」

画面には、「ここに触れてください」と表示されていた。

後輩は不安そうに先輩を見上げ、先輩は男は度胸だと言わんばかりに画面に手を触れた。



吸い込まれる。



というのが最も良い表現だろう。

先輩が渦に巻き込まれるかのように画面に吸い込まれていった。

「ええ!?」

後輩は驚いて声を上げ、思わず後ずさる。

「先輩?」

返事は無い。

画面は依然として暗く、ただ「ここに触れてください」と出ているのみ。

「……」

後輩は意を決して画面に手を触れた。

ジェットコースターに乗った感覚。

後輩もそのまま画面に落ちていった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「んん?」

先輩は地面のど真ん中に立っていた。

目の前には町の入り口がある。

「体験RPGねぇ」

まさしく、そこはRPGの世界であった。

ただ格好は制服のまま。

掃除中であったため、エプロンもつけている。

「なるほど。これは貴重な体験だな」

うんうん、と頷きながら先輩は歩き出した。

「町に入るしかないだろ?」

先輩は町に入り、とにかく誰かと会話をするために人通りの多い場所を目指した。

そこはすぐに見つかった。

市場らしき場所で人が行き交っている。

「RPGってのは、もっとこう歩きやすくできているんじゃないのか?」

地味に現実味のある人ごみを掻き分けようと、先輩が足を踏み出した瞬間だった。

空から何かが降ってきた。

言うまでもない、後輩である。

「うわぁぁぁー!」

「おお?」

後輩は見事先輩い激突し、ぶつかられた先輩はそのまま雑踏につっこむ。

先輩にぶつかられた人が倒れ、またその人にぶつかられた人が倒れ、という玉突き(注1)衝突を起こした。

その発火点となった後輩の顔がみるみる青ざめていく。

「おい、こら。何やってんだ?」

「し、知りませんよ。そんなこと」

後輩は両手をぶんぶん振るが、事態は深刻だ。

倒された塊は身動きが取れず、もがいている。

「とにかく助けるぞ」

「は、はい」

不思議なことに人々に怪我ひとつなかった。

むしろ、後輩が天から降ってきたことで、神様勇者様扱いをされている。

「おい、勇者様。よく分からんが、とりあえず武器でもそろえるか」

「ちょ、先輩。なんでノリノリなんですか?」

「あ? だって勇者なんだろ? 敵をばっさばっさとだな」

「ちょっと落ち着いてくださいよ。まず、ここどこですか?」

「ここは、○○の村です」

「うるせぇよ、村長!」

「RPGっぽくて、良いじゃないか」

あっけらかんと笑う先輩に対して、いきなり勇者に祭り上げられた後輩は混乱状態である。

「とにかくあれだな。今日は休んで体力を回復しよう。話はそれからだ」

「ええ?」

「と言っても、ここって娯楽あるのかな? 本でもありゃ、暇つぶしができるんだが……」

「だから何悠長なこと言ってるんですか? 元の世界に戻りたいですよ、僕は」

「あのなぁ、お前。こんな2度と経験できないようなことを今こうして経験できたことを、もっと喜べよ」

「不安しかないです」

ため息をついた後輩を半ば引きずる形で宿屋まで連れて行った先輩は、後輩をそこに預けると自分は店に向かった。

店屋には武具や薬草を含め、様々なものが売られていた。

「おお? なんだこりゃ?」

「それに目をつけるとはお目が高い!」

「だろ?」

「それは昔、異世界から来たという者がもっていたものです」

「異世界から? ……なるほどね」

「あなたの格好も、その異世界から来た方にそっくりですが、もしや、あなたもあの偉大なお方の知り合いなのですか?」

「んん? 違うよ。俺はただの通りすがりの正義の味方だ」

先輩は言って、その異世界人が持ち込んだものを購入した。

「またお越しを」

「おお」

先輩はひらひらと手を振って宿屋に戻った。

「これ、電池大丈夫か?」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「と、いうわけで魔物退治をお願いしたいのです」

「ええ?」「任せろ」

「さすがは勇者様。では、この剣をどうぞ。これはこの町に伝わる――」

「ちょっと先輩」「必ず、こいつが世界を救います」

「西の森はあちらです」

「嫌だぁ!」「魔物討伐とか、変なアルバイトよりお得だろ」

「お気をつけて」

「弁護士を呼べぇ!」「RPGの世界に裁判所はないんじゃないか」

剣を両手に握ったまま先輩に襟首を捕まれ、後輩は西の森へと連れて行かれた。

西の森は薄暗く、いかにも魔物が出そうな雰囲気だった。

「先輩。行くなら先輩1人で行ってください」

恨みがましい顔で言う後輩に向かって、先輩はえらく真面目な顔で言った。

「分かった。もし俺が戻らなかったら、そのときはお前は逃げてくれ。いいんだ。俺のことは。俺はここで死んでも構わない。ああ、後輩よ。お前のことは忘れないぜ。おお、勇者よ。俺みたいな小さな人間は見捨てて、あなたは先に進むべなのです」

「……分かりましたよ。行けば良いんですね」

「最初からそう言え」

かくして、2人は西の森に突入した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「お前、強いじゃねぇか」

「勇者ですから」

「急に態度がでかくなったな」

魔物をばっさばっさと倒しながら先輩と後輩は奥へ向かった。

森の奥には一軒屋があった。

「え? これがボスの隠れ家?」

「いやに近代的だな」

先輩がチャイムを鳴らし、「はぁい」という声がした。

中から出てきたのは、それこそまた現代から飛び出してきたかのような人間だった。

「いらっしゃい」

「お邪魔しまぁす」

「ちょ、先輩!」

招かれて、普通に入っていく先輩に続いて、後輩も部屋に入り込んだ。

そこはさながら1人暮らしのアパートの一室であった。

「ちょっと、セーブするから待ってて」

「おお。勝手に座ってていいか?」

「うん。その辺適当に座って。あ、これ食べる?」

「いただく」

「……」

宿主から出されたお菓子をほおばる先輩を見て、後輩はうなだれるしかなかった。

「あ、あの……」

「何?」

「あなたは、この森のボスってやつですよね?」

「いかにも」

「あの、僕、勇者なんですけど」

「ああ。そうなの? じゃあ、勝負しに来たんだ」

「え? ええ、まぁ」

「そっか」

宿主は無事セーブを終えたゲームの電源を切ると、立ち上がって後輩に向き直った。

「じゃ、何する? あ、君らPSP持ってる? 通信対戦しようぜ」

「え? そんなもの持ってな――」

「よし来た」

「先輩?」

「持ってて良かったPSP」

「どこで買ったんですか、そんなもん」

先輩はさっそうとポケットからPSPを取り出した。

「よし、じゃあ行くぜ。お前らが勝ったら、そうだな……。元の世界に返してやろう」

「おお? そんなことできんのか?」

「任せろ。俺を誰だと思ってる」

先輩は部屋を見渡し、やや首をかしげながら答えた。

「ゲームオタク?」

「近からず遠からず」

さて、宿主と先輩がゲームに熱中し始めたころ、1人蚊帳の外に置かれた後輩はぽつんと座り込んでいた。

「あれ? 僕が勇者なんだよね。だって、この剣は? でも、今ボス戦をしているのは先輩だ。しかもゲーム対戦とか。これRPGだろ。時代設定がおかしすぎる。そもそも、なんだよこの生活感溢れるデザインは。これ作ったやつ何考えてんだ……」

「ちょ、ぶつぶつうるさい」「黙っててもらえますか?」

「ああっ!?」

いきなり叫びながら立ち上がった後輩を見て、先輩と宿主は動きを止めた。

「お、おい、どうした。顔が怖いぞ」

「落ち着いて、ね。君、そこの牛乳飲んで。か、かるしうむ」

「RPGならRPGらしく、やりやがれぇ!! 何、近代的なもんで対決してんだ、こらぁ!!」 

後輩が持っていた剣を振り上げ、宿主とそれから先輩も巻き込んで攻撃した。

「うがっ!」

「バカかお前はぁ!」

先輩の手からPSPが吹き飛び、それが壁に激突した。

ぷつん、と電源が切れる。

それと同時に、後輩の視界もブラックアウトした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



目が覚めると、後輩はいつもの部室にいた。

先輩も机で眠っている。

「夢、か」

後輩は言いながら、伸びをして立ち上がった。

起動したはずのパソコンは既に電源が落ちていた。

「先輩、起きてください」

「んあ……」

目をこすりながら起き上がった先輩は、首を回してあくびをした。

「あれ? 寝てたのか」

「そうみたいです」

コンコン。

部室をノックする音が聞こえた。

「はぁい」

後輩がそれに対応するために外に出る。

「どちらさま……」

「よっ」

果たして、そこにいたのは魔物であり、そいつはするりと部室の中に入り込んできた。

「え? ええ?」

魔物が先輩に向かって飛び掛る。

「先輩!」

後輩がそう叫ぶと同時に、人影が部室に侵入してきた。

そいつは魔物を素早く倒すと、先輩の顔を見て嬉々として言う。

「よお。さっきの勝負の続きしようぜ」

「ああ? 別に良いぜ」

「うし。じゃあ、ええっと。おい、お前。こいつの片付け頼む」

人影は例のボスであり、彼は倒した魔物を指差して後輩に言った。

「ど、どうやったら、武器も無いのにこんなに簡単に魔物を倒せるんですか?」

「え? 武器ならあるぜ。これだよ、これ」

ボスは手に持つそれを示しながら言った。





「持ってて良かったPSP」


完。


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2009.02.12 Thu l 三題噺 l COM(0) TB(0) l top ▲

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