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お題「糸」「カニ」「嫁」


短いです。

ですが、たまにはさくっとしたのも良いかと。

では、どうぞ。
俺も、もう良い歳だろう。

同い年の奴らにゃ、結婚して子どもまでいるやつもいる。

だが、残念ながら俺にはそういった縁がない。

目ぼしい女どもは皆、金持ちやあるいは顔の良いやつのところに嫁いでいる。

ああ、無論性格うんぬんもあるが、その点は排除だ。

性格なんてもんは顔という試験をパスしてからだ。

最低点に届かない俺のこれで、性格だなんて言うのは、ただの逃げでしかない。

そういうのが分かるくらいには大人になった。

ただ、外見の方はもはやどうしようもないが、金の方は何とかなるんじゃないか。

そう思っていた時期もあった。

けれど、それも叶わない。

蟹工船と表現したいくらいの劣悪な労働環境。

俺の年間の稼ぎは、下手すると金のある奴の1日以下なのかもしれない。



文字通り、絶望だ。





さて、俺は別に理由もなく、こんな悲惨な書き出しで始めたわけではない。

いいか。

俺は、絶望の中にちょっとした希望を見出したのだ。

それは、いわゆる超能力ってやつだ。

“赤い糸”って知ってるか。

運命のなんとか、ってやつだ。

実は俺にはそれが視える。

誰かの小指から誰かの小指へ。

それが視える。

視えたところでどうしようもない、と思ってこれまでは無視してきたのだが、

もしかすると、これはビッグビジネスになるんじゃないか。

と思った瞬間、俺は“蟹工船”を辞めた。

道端の占い師として活動をはじめて、徐々に知名度を上げていった。



あなたの運命の人、探します。



そのキャッチコピーで、俺は信じられないくらいの金持ちになった。

世の中なんて、案外ちょろいもんだ。

占いだとか何とか診断だとか、根拠も何もないようなものが売れる時代。

中身のない外身だけがが売れる時代。

つくづく俺は今の時代を感謝したね。

数年後、まもなく40歳にさしかかろうという頃、俺の資産は数億を越えた。

その金を使って、顔も変えた。

かくして、俺は金持ちとなり、かつ優れた容姿を有する男に生まれ変わった。

そうなると自信もついてくるもので、こういうのもなんだが内面にも変化は出てきたと思う。

明るくなったというかなんというか……。

まぁ前とは確実に別人になったんだろう。

そして、俺はついに嫁をもらうことになった。

一回りほど年下の美人だ。

ああ。

だが、俺はようやく幸せの絶頂に立ったわけではないんだ。

いいか。

俺は別に理由もなく、あんな悲惨な書き出しで、この手記を書き始めたわけではない。

そして、その理由は上記の俺のサクセスストーリーなんかではない。

いいか。

俺には“赤い糸”が視えるんだ。

ならば、なぜ。

俺の指からは“赤い糸”が一本たりとも伸びていないのだろう。

そして、なぜ俺の愛する妻からは、どこか遠くへ向かって“赤い糸”が伸びているのだろう。




やはり、俺には縁がない。


完。


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2009.02.09 Mon l 三題噺 l COM(0) TB(0) l top ▲

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