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お題「文字」「光」「家主」


ん、ん~?

という感じ。

無理やりオチつけたようにみえるのは、無論時間がギリギリだったからです。

最近は、連日50分丸々使っておりまして、良いオチにもっていけませんな。

では、どうぞ。
●●様

今宵もまた月が明るく私(わたくし)を照らしております。

真っ暗な部屋の中、私を映し出すのは月の微細な光だけ。

このような些細な光では、あなた様に私を見つけていただけないのではないか、と心配でなりません。

いつものように窓を開けて待っております。

どうか、お越しになってください。

私にはあなた様しかおりませぬ。



○○様

僕はあなたを見ているだけでよかったんです。

あなたの一挙一動を見つめているだけで充分に幸せだったというのに。

ああ、なんて愚かなんだろう。

あなたをデートに誘ったばかりに。

僕だけでなく、あなたまで苦しめてしまうことになってしまいました。

僕はあなたを悲しませるために、あなたに恋をしたのでありません。

恋とはもっと甘美なものであると信じて疑わなかったというのに。



●●様

今宵もあなた様は参りませんでした。

もう私のことなど忘れてしまったのでございましょうか。

私など重荷にしかならないのでございましょうか。

いつかのように、また私を外の世界に連れ去ってくださいまし。

お願いいたします。

私にはあなた様しかおりませぬ。



○○様

僕は今日もあなたの家にうかがいました。

しかし、どうしてもあなたに近づくことができないのです。

外からじっとあなたの部屋を見ました。

暗闇の中、そわそわと動いている影を確認しました。

ああ、あれはきっとあなたなんでしょう。

今の僕には、あなたのシルエット見る資格しかありません。

また明日。



●●様

今宵は私もあなた様の姿を見つけました。

あまりにも熱い瞳で見つめられると照れてしまいます。

私はなんて罪深いのでしょう。

あなた様と言葉を交わしたいのです。

あなた様と触れ合いたいのです。

見つめ合うだけでは物足りないのです。

私にはあなた様しかおりませぬ。



○○様

そのような悲しい瞳で見つめないでください。

今の僕にはあなたに触れる資格はないのです。

あなたを、そんな檻の中に閉じ込めてしまった僕には

あなたの美しい瞳を見つめること以上を望んではいけないのです。

望んでは、いけないのです。



●●様

今宵はあなた様はいらっしゃいませんでした。

どうしてあなた様は私の心を惑わせるようなことばかりいたしますのでしょう。

私はただあなた様をお慕いしているだけだというのに。

なぜ、私の周りには力となってくれるお方がおられないのでしょう。

お母様もお父様も、私の味方とおっしゃいます。

けれど、本当に私の味方であるというのなら

なぜ、私とあなた様を引き離すような真似をなさるのでしょう。

私にはあなた様しかおりませぬ。



○○様

非常に悲しい話をしなければなりません。

とうとう手持ちのお金が底をつきました。

家賃を払えず、家主からも追い出されてしまいました。

僕にはもう行くあてがありません。

最後にもう一度、あなたに会いたかったのでしょう。

自然と僕の足は、あなたの家に向かっておりました。

ああ、僕はまた罪を犯そうとしております。

こうして、あなたの家の壁に手をかけております。

ああ、僕はあなたを盗み出そうとしているのです。



●●様

今宵のことはお父様から聞きました。

私はずっと見ておりました。

あなた様が使用人に追いかけられる様も。

あなた様がこちらに視線を向け、それから涙をお浮かべになった様も。

なぜ、私はあなた様を助けてあげられなかったのでしょう。

私も涙を零せば良いのでしょうか。

涙を零して、お父様に頭を下げれば良いのでしょうか。

それで、私は救われるのでしょうか。

私にはあなた様しかおりませぬ。



●●様

今宵も私はあなた様を待ち続けております。

あれ以来、警備も厳重になったようです。

お父様も頻繁に私の部屋に訪れます。

あなた様は今どうしていらっしゃるのでしょうか。

新しい住処を見つけることができたでしょうか。

美味しいお食事をとっていらっしゃるでしょうか。

私はあなた様に会えなくなってから、以前にも増してあなた様のことばかり考えております。

私にはあなた様しかおりませぬ。



●●様

今宵は月が見えません。

闇の中、私はあなた様がいらっしゃるような気がして

いつものように窓辺に立っております。

けれど、きっとあなた様はいらっしゃらない。

その事実が、いったいどれほど私を苦しめているか。

きっとあなたにはご理解できないのかもしれません。

せめて、文字だけでも、あなたの文字だけでも見たいと願うのは

私の我儘なのでしょうか。

私にはあなた様しかおりませぬ。

けれど、そのあなた様がおりませぬ。







○○様

1人になったことで考える時間ができました。

正直に言います。

僕にはお金がありません。

いえ、仕事はしています。

けれど、僕1人をなんとか養っていくお給料しかもらえないのです。

受け取る給料袋のなんと軽い(注1)ことか。

あなたに会いに行くときの自分の足のなんと重いことか。

正直に言います。

僕は恥ずべき人間なのです。

あなたを愛してはいけない人間なのです。

僕らの前に立ちふさがる壁はあまりにも高く、あまりにも強固なのです。

ああ、この壁を打ち壊すだけの力が僕にあれば……。

正直に言います。

僕はあなたを愛しております。

本当は文字だけで伝えるのは嫌で嫌でたまりません。

僕の口から、直接あなたの耳に愛の言葉をささやきたいのです。

けれど、僕にはそれができません。

あなたの幸せを願うからこそ、僕は迷うのです。

僕では、あなたを幸せにできない。

そんな独りよがりなことを考えてしまうのです。

恋とは、人を盲目にするといいます。

僕は盲目にはなっておりません。

僕は自分のことをよく見ております。

だから、僕はあなたに会いに行く、あなたを奪いに行く一歩が踏み出せないのです。

正直に言います。

僕はやはり盲目なのかもしれません。

自分のことは見えなくても分かるものです。

けれど、あなたのことは見なくては分かりません。

僕にはあなたが見えないのです。

これは、僕の独りよがりではないのでしょうか。

あの日、デートを受諾してくれたのは単なる酔狂からではないのでしょうか。

あなたは貧乏人の僕をからかっていただけではないのでしょうか。

僕を見つめるあの視線は、僕を蔑む視線だったのではないのでしょうか。

あなたの美しさは、僕を騙すために作られたものなのではないのでしょうか。

あなたの愛の言葉は、幻だったのでないのでしょうか。

これまでの全て僕の妄想だったのではないのでしょうか。

僕は不安なのです。

不安で不安で仕方がないのです。

正直に言います。

自信が無いのです。

僕はあなたを愛しております。

けれど、あなたに愛される資格が僕にあるのでしょうか。

あなたを抱きしめる資格が僕にあるのでしょうか。

あなたに微笑みかける資格が僕にあるのでしょうか。

あなたから愛の言葉をうける資格が僕にあるのでしょうか。

あなたを檻から救い出す資格が僕にあるのでしょうか。

あなたの唇に触れる資格が僕にあるのでしょうか。

あなたと逢瀬を重ねる資格が僕にあるのでしょうか。

僕は不安なのです。

だからこそ迷うのです。

僕を度胸のない男だと思わないでください。

あなたの前で胸をはれる男などいるはずがありません。

正直に言います。

ひとうだけ訂正します。

僕はあなたの前で胸をはれます。

胸をはって言えます。

あなたを愛しています、と。

ああ。

いろいろと書いているうちにどうやら頭も落ち着いてきたようです。

僕はきっとあなたを迎えに行きます。

あなたが嫌だと言わない限り、僕はあなたを連れ去ります。

ああ、やはり恋は人を盲目にするのでしょう。







●●様

今宵の涙は嬉しさのあまりでございます。

どうか私をあなた様の傍にいさせてください。

あなた様の悲しみも喜びも共に背負いたいのです。

私も、それほど立派な胸ではございませんが、あなた様の前でしっかりとはって言います。

私もあなたをお慕いしております。

私には――





「あなた様しかおりませぬ!」





○○様

今日という日をいったいどれくらい待ったことでしょう。

やっと、やっと言えます。

文字ではなく言葉で。

あなたに言えます。

僕は――





「僕はあなたを愛しております」










愛の我が娘よ。

こんなことになるくらいなら、お前の交際を認めてやればよかった。

いったいお前はどこに行ってしまったんだ。

私の財力も人脈も全てを尽くしてもお前の行方が分からない。

まるでお前の存在が初めから幻であったかのように消えてしまった……。

幻などではないよな?

お前は確かに私の娘として存在していた。

そうだろう?

頼む、帰ってきてくれ。

あの若者と一緒でも構わない。

だから――。







彼と彼女の姿の行方は知れない。

もともとそんな人間など存在しなかったかのように忽然と消息を絶ったのである。



ただ、残された大量の手紙だけが彼らが現実にこの世に存在したことを示していた。




完。


(注1)無理やりですが、軽い(light)をかけたつもりです。


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2009.02.05 Thu l 三題噺 l COM(0) TB(0) l top ▲

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