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お題「幽霊」「エーテル」「氷」


エーテルって。

初めはもう「エーテルさん」っていう人を出すしかないな、と思ったんですが、

方向転換いたしました。

ちょっとずるい感じもしますが、注釈をつけたのでそれを参照してください。

それから、オチの弱さは今に始まったことじゃない。

タイトルは、なし。

では、どうぞ。
頭が痛い。

喉も痛い。

風邪をひいた。

うん、これは風邪に間違いない。

私は重い身体を這わせて台所に向かい、必死に氷枕を作った。

こういうとき1人暮らしは厳しい。

それに、何でだろう。

いつもは平気なはずの1人の生活が体調を崩したときに限って、寂しく、切なく感じてしまう。

うう……。

頭の痛みに耐え切れなくなって、私は布団に戻ると作ったばかりの氷枕に頭をのせる。

気持ちいい。

すぐにまどろみ始めた私は、眠りに落ちる瞬間、身体がふわりと浮き上がる感覚に陥った。





初め、私は幽霊にでもなったのかと思った。

でも、違う。

これは幽体離脱というやつじゃないかしら。

私は寝ている自分を見下ろしながら、そう思った。

だって、ほら。

こんなに自由に飛びまわれるし、壁も透けられる。

これは幽体離脱に違いない。

こんな体験は滅多にできない、と思った私は早速壁をすり抜けて外に飛び出した。

どこまでも広がる青空。

私は天空(注1)目指して飛び上がった。

下に映る景色が小さくなっていく。

雲を越え、私の目に飛び込んできた景色は、とても美しかった。

自分のボキャブラリーの無さに、ほとほと呆れるくらいに綺麗だった。

ああ。

この感動を誰かに伝えることができたなら。

私はその光景をしっかりと目に焼き付けてから、下界(天空はまるでこの世のものとは思えなかった)に降りた。

とりあえず、大学に行ってみようと思い立ち、私はふらふらと飛んでいく。

いつもは何度も曲がり道を通らなければいけない大学までの道のりを、一直線で進んでいく。

私を邪魔するものは何もない。

素敵。

なんて素敵なのかしら。

自由気ままな浮遊生活。

それも悪くはないわね。

なんて思っていると、あっという間に大学に着いた。

今の時間なら2限目の授業中のはず。

私はこっそり、と言っても、誰にも見えないわけだから、こっそりする必要はなかったんだけど、

それでも、こっそり教室に入り込んだ。

授業はもう終盤に差し掛かっていた。

仲の良い友人の周りをひらひらと飛んで、あちらがこちらに気づかないことに少しだけ面白みを感じた。

すぐに授業が終わり、学生たちがぱらぱらと教室を出て行く。

私は友人たちの後をついていった。

彼女たちは、学食に向かっているみたいだった。

雑談を交わしながら食事をする彼女たちを見て、私はふと悲しくなった。

こんなに近くにいるのに、会話ができないなんて。

あの笑顔の中に、入れないなんて。

そう思った瞬間、これまで幽体離脱によって空を自由に飛びまわっていたことで浮かれていた身体も心も、ずっしりと重くなった。

そして、意識がブラックアウトした。





目覚めると、家のチャイムが鳴っていた。

思いのほか、軽くなった身体を起こして、鍵を開ける。

そこに立っていたのは、私の友人たちだった。

お見舞いに来てくれたのだ。

彼女たちと数時間後にはすっかり忘れているであろう他愛のない会話で盛り上がる。

笑い合う。





自由気ままに飛びまわるのも良かったけど、

やっぱり、誰かと一緒が一番良い。



完。


(注1)エーテルは、ギリシア語で上層の空気。また英和辞書によると(詩)天空、上空である。


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2009.02.02 Mon l 三題噺 l COM(0) TB(0) l top ▲

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