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お題「汽車・ひまわり・笹かま」

リハビリを兼ねて,短めに。

どうぞ。

もう,諦めようと思った。

逃げやがった,と思われても,もうよいと思った。

それほどに限界で,このままここにいても,
自分にとって明るい未来は待ち受けていないことを悟った。

だから,私はいつもとは反対方向の汽車に乗り,どこか遠くへ行こうと思った。

駅弁代わりに買った笹かまぼこをかじりつつ,ぼんやりと外を眺める。

毎日見慣れた景色とは違う光景。

これまですぐそばにあったはずのそれは,今の私には新鮮すぎた。



降り立った駅名は,読めなかった。

本当に,知らない場所。

そこに,私は立っている。

昨日までの自分からは想像もつかない,第一歩を踏み出すことができた。

さびれた食事処に入り,お品書きの一番上の料理を注文した。

昨日までとは違う時間が流れる場所。

ぬるめの水で喉を潤し,静かに古びた椅子に身体をうずめた。

やがて出てきた料理を口に運ぶ。

なんでもない白米は,昨日までとは違う食感。

そういえば,食事は味わうものなんだと,久しぶりに感じた。

ちょっとしょっぱい味噌汁も,やけに新鮮で,昨日までの自分を,忘れてしまいそうになる。

代金を払って,店を出ると,ぎらぎらとした太陽が照り付ける。

額から頬を伝う汗をぬぐって,空を見上げた。

汗を冷やす風が,心地よい。

頭を熱する太陽の光も,心地よい。

確かに,この時間は心地よい。




しかし,それだけだ。



初めて,「あの場所」に向かったときのような興奮は,微塵も感じなかった。

太陽の光に目を細めつつ,執念深く空を見上げる。

うっとうしいくらいに青い空が,「あの場所」につながっているのがみえた。



長い,長い,ため息が出た。

ポケットに手をつっこむと,いつもと同じ金額の小銭がじゃらじゃらとこぼれた。

その小銭を拾う気にはならない。

それを拾うために,立ち止まる気にはならない。



所詮,私は明るいところから目をそらすことのできない,ひまわりに過ぎないのだ。

きっと,抗うことのできない本能が,私を明日も突き動かすのだろう。





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2014.04.01 Tue l 三題噺 l COM(0) TB(0) l top ▲

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