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こんばんは。

推敲なし、一発書き。

キャラ設定がずれてそうなのはご愛嬌。

千歳は正直扱いづらい。

どぞ。

京子「きょうこー!」結衣「ゆいー!」


「ちーなーつーちゃーん!」

「え? ちょ、ちょっと結衣先輩!?」

放課後。

ごらく部の部室を訪れたちなつを結衣が襲う。

抱きつかれたちなつは彼女のなすがままにされ、隣にいたあかりは口を空けたまま固まる。

「うへへ……ちなちゅー」

結衣の唇がちなつの頬に触れ、ちなつが言葉にならない悲鳴を上げると同時に、

「おいこら」

という声が聞こえた。

部室で成り行きを見守っていた京子が結衣の襟首を掴んで引っ張る。

「ちょ、ちょっと結衣ー」

「良い加減にしろ」

いつもとは間逆の光景にあかりとちなつは首をかしげる。

が、次の瞬間に、ちなつはわなわなと震えると結衣の前に歩を進めた。

「なんだか、すごーく嫌な予感がするんですが、説明してもらえますか? 京子先輩?」

「え? うへへ。結衣?」

「ご覧の通り、かな?」

「え? え? ええ? 京子ちゃんと結衣ちゃん、もしかして……?」

しばらく呆然としていたあかりが慌てて二人の顔を見比べる。

「……きょ、京子先輩。結衣先輩の姿でそんなだらしない顔しないでください」

「いやー、結衣だってたまにこんな――」

「とにかく漫画みたいな話だけど、中身が入れ替わっちゃったみたいなんだ」

結衣の発言をさえぎって、凛とした表情の京子がそう言う。

「…………」

「ど、どうすれば元に戻るの?」

絶句のちなつをよそに、あかりが心配そうな顔つきで尋ねる。

「さぁ?」

あっけらかんと答える結衣の態度に頭を抱えた京子は、やれやれとため息をついた。

「とりあえず様子を見ることで落ち着いた。2人にも迷惑かけるけど、ごめんね」

京子の言葉にあかりは笑顔でうなずき、ちなつは困ったように少しだけ首を縦に動かした。

「う、うう……」

「どうしたの? ちなちゅ?」「どうかした? ちなつちゃん」

2つのいつもと違う顔に問われ、ちなつはへなへなと崩れ落ちる。

「……複雑な気分です」

力なくゆるうると動いた手は、自らの頬を擦るのだった。



「と、としのーきょーこ?」

「どうしたの? あやの?」

崩れ落ちたちなつちゃんを宥めた後、お手洗いに向かった京子は綾乃と鉢合わせた。

「……なんだか、雰囲気違うわね」

「そ、そうかなー」

疑いの視線を向ける綾乃から逃れるように、ずずずと京子は後ずさりする。

しかし、綾乃の視線は怯むどころか、さらに迫ってくる。

「あ、綾乃、近いよ?」

「……え? ええ?」

綾乃はさらに京子に近づくと、妙に真剣な顔つきで口を開いた。

「罰金バッキンガム」

「ぶふっ!」

反射的に噴出したのは仕方のないことだった。

京子は慌てて繕うが、綾乃の疑惑の念を払拭することは適わない。

「あなた、船見さん、なの?」

「……えーっと」

京子はせわしなく視線をあちこちに動かすが、やがて観念したのか、綾乃の顔にその視線をとめる。

「ごめん、綾乃。私たち、入れ替わっちゃったみたいなんだ」

「……い、入れ替わる?」

「うん。理由はよく分からないんだけどね……」

「へ、へぇ……」

綾乃はちら、ちらと京子の方を見ながら、ふ、ふん、と鼻を鳴らした。

「やっぱりね。おかしいと思ったのよ」

「綾乃は」

「……?」

「綾乃は、京子をよく見ているね」

その儚げな笑みの意味を綾乃は理解しきれない。

否、勘違いをせざるを得ない。

「……船見さん、あなたも」

「皆待ってるから、もう行くね」

綾乃の言葉は、それ以上続くことはなかった。

走り去る京子の後姿を見ながら、綾乃はどこか遠くに取り残されたように感じたのだった。



「あれ、結衣ちゃん、どうかしたの?」

「……今は京子だよ、あかり」

息を切らせながら部室に戻った京子はあかりの心配そうな顔つきに迎えられた。

「どうしたー、京子ー。私に会いたくて走って帰ってきたのか?」

にひひ、と笑う結衣を横目に京子は手早く荷物をまとめ始めた。

「結衣先輩? どうかしたんですか?」

心配そうなちなつに弱々しい笑みを浮かべて、京子は荷物を手に取る。

「ごめん、ちなつちゃん」

そうして、3人の方に向き直り、さらに言葉を紡ぐ。

「少し疲れたから、今日はもう帰るね」

「ちょ、結衣――?」

結衣の言葉は、それ以上届くことはなかった。

走り去る京子の後姿を見ながら、結衣はどこか遠くに取り残されたように感じたのだった。



帰り道、公園のベンチに腰掛けた京子は何度目か分からないため息をついた。

「はぁ……」

夕暮れの公園は寂しい。

子どもたちの声も減っていく中、夕焼け空がさらなる哀愁を誘う。

「……何やってるのよ、こんなところで」

「え?」

気がつくと、京子の隣に綾乃が座っていた。

「……綾乃」

「歳納京子の顔でそんな態度されると、調子くるっちゃうのよね」

「…………ごめんな、綾乃。イメージ壊しちゃって」

そう言い残して立ち去ろうとする京子の腕を綾乃が引きとめた。

綾乃の力に逆らわず、京子はまたぺたんとベンチに座る。

「……」

「……」

京子が動かないことを確認して綾乃は静かに手を離した。

そして、2人は付かず離れずの距離をとる。

そんな時間がしばらく流れた後、綾乃が口を開いた。

「こうして座っていると、クリスマスを思い出すわね」

「……クリスマス?」

「カ、カップルごっこ、とかいうやつのことよ」

「ああ……」

「船見、さん?」

「何?」

「……て、手でもつないでみる?」

その問いかけに京子は言葉ではなく行動で答えた。

膝の上でぎゅっと握られた綾乃の手の上に、そっと自分の手を重ねる。

綾乃の顔が自然と綻ぶ。

「今は、京子だから」

「……」

しかし、その後に出てきた京子の言葉に綾乃の笑みは消える。

「……私は」

睨みつけるように京子の顔を見つめると、綾乃は乗せられた手を両手で包み込むように強く握る。

京子は驚いて目を見開いたが、どこか表情に生気が戻ったようだった。

「私は、船見さんが元気がなさそうだから。だから、何とかしたいって思ったの」

「あ、綾乃?」

「確かに見た目は歳納京子だし、少し、そ、そんな邪な気持ちがあったかもしれないわ」

そこで綾乃はひとつ区切りをとった。

そして、すーっと息を吸い込む。

顔は真っ赤だ。

「でも、私は――」

言葉がとまったのは、仕方のないことだった。

京子がきつく綾乃を抱きしめたのだ。

「ちょ、ちょっと、と、歳の……ふ、船見さん!?」

「ごめん、ごめん、綾乃……」

綾乃の耳のすぐ傍で京子の声が聞こえる。

少しだけ、くすぐったい。

「邪なのは、私だったよ」

冷たいものが綾乃の頬に触れた。

それが何かは確認するまでもない。

一瞬のうちに、綾乃の顔色が赤やら青やらに変わり、そして、停止した。

京子はくすっと笑ってベンチから立ち上がると、放心状態の綾乃を置いて、足早にそこから立ち去ったのだった。




「結衣」

公園から出てすぐ、京子は後ろから声をかけられた。

「……京子」

「さっきの、何?」

振り返らなくても分かる。

京子は背を向けたまま、一言だけつぶやくように告げた。

「私、綾乃が好きだ」

不意に背中が暖かくなった。

「自分に抱きつかれるのって、不思議な気分だな」

「……自分に抱きつくのも、ね」

空の色は、まもなく夜になろうとしていた。



「ちーなーつーちゃーん!」

「え? ちょ、ちょっと京子先輩!?」

翌日の放課後。

ごらく部の部室を訪れたちなつをいつものように京子が襲う。

抱きつかれたちなつは彼女のなすがままにされ、隣にいたあかりはほっとしたように微笑んだ。

「うへへ……ちなちゅー」

「や、やめてください、京子先輩」

京子の唇が迫るが、ちなつは力いっぱいに彼女から逃げようとする。

「おいこら」

そしてまた、いつものように部室で成り行きを見守っていた結衣が京子の襟首を掴んで引っ張る。

「ちょ、ちょっと結衣ー」

「良い加減にしろ」

呆れたようにぼやく結衣にててっと近づくと、ちなつは彼女の腕に抱きついた。

「結衣先輩、戻ったんですね」

「え、うん。よく分からないけどね」

結衣は呆れ顔を困り顔に変え、ちなつに答える。

今朝目を覚ますと元に戻っていたらしい。

「としのーきょーこー!」

「お邪魔するでー」

と、唐突に部室の扉が開き、綾乃と千歳が入ってきた。

これも、いつもの光景だ。

「おー、綾乃ー」

そして綾乃も気づく。

2人が元に戻っていることに。

「昨日は迷惑かけたね、ごめん」

「……」

「綾乃、ちゃん?」

首をかしげる千歳をよそに、綾乃は京子と結衣を見比べ、最終的に結衣に顔を向ける。

「……?」

「ふ、船見さ……」

そこで、すーっと息を吸った。

結衣はその顔に見覚えがある。

それは昨日の出来事だ。

「…………ゆ、結衣!」

「は、はい」

いきなり名前を呼ばれた結衣は反射的に姿勢を正す。

「きょ、今日は私の話をちゃんと聞いてもらうわよ」

「う、うん……」

「わた、私はね、歳納京子のことじゃなくて、結衣のことが――」

心配だったの!

という言葉は飲み込んだ。

代わりに出てきた言葉はごらく部に混乱を招く言葉だった。

ただ1人、切なそうに微笑む京子を置いて、ごらく部は今日もいつも通り騒がしい。



了。



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2011.09.25 Sun l SS l COM(0) TB(0) l top ▲

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