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こんばんは。

SSはあんまり書かないんですが、書いてしまった。

だから、こっそり投稿。

思いのほか、ゆるゆりにははまってるよ。

2期待ってる。

京子「オムライスうめぇ……」結衣「……そうか」



彼女がラブレターを受け取ったのは初めてではなかった。

朝、登校してすぐに下駄箱を開けた彼女の顔色が変わるのを京子は見逃さない。

どこかで見覚えのある困ったような顔。

だけど、それはすぐに消え、彼女は不器用に微笑む。

「京子、悪いけど、先に行っていてくれないか」

京子はバレバレの気づかないフリで彼女に手を振る。

「おっけー。遅れんなよー」

遠慮がちに手を振る彼女を見送って京子はのんびりと教室へと向かう。

ちらりと振り返ると、彼女はもう京子を見てなどいなかった。

手元にはかわいい便箋。

京子は軽く唇を噛み締めると、急ぎ足でその場を立ち去った。

彼女から見えない位置に来て、さらに速度を上げる。

階段を駆け上がり、教室に飛び込む。

友人たちと挨拶を交わしながら、机の上に荷物を置いた。

意識したつもりはなかったが、叩きつけるような感じになった。

いつも、そうだ。

彼女はきっと手紙の主と合っている。

そこで何が行われるのか、京子には用意に想像がつく。

何年、幼馴染をやっていると思っているのか。

でも、だからこそ、一抹の不安がある。

もし、もしも。

これまでと違う何かがあったらどうだろう。

2年生にあがってから、もう1人の幼馴染であるあかりがごらく部に入部してきた。

そして、新しい後輩も。

ちなつはストレートに気持ちを表現してくる。

そんな人はこれまでいなかった。

彼女に熱烈なアプローチをしかける人物など、いなかったのだ。

だからこそ、不安が生まれた。

これまでとは違う何かが起こる可能性を知ったから。

京子はかばんに顔をうずめる。

嫌な予感は拭いきれなかった。



チャイムの鳴るぎりぎりに教室に入ってきた彼女はどこかぼんやりとしていた。

京子に軽い挨拶をすると、席について頬杖をつく。

こんな彼女を見た記憶は、あまりなかった。

「……結衣?」

彼女は京子の呼びかけに苦笑で答えた。

「京子、今日の部活は少し遅れる」

これまでとは違う何かが

起こる気がした。



その日、彼女は部室に現れなかった。

後輩2人、とくにちなつは不服そうだったが、時間も時間なので解散ということになった。

無理して笑っていたことが、あかりにはばれたのかもしれない。

自分の都合で、あかりの微笑みを曇らせてはいけないと思った。

だから、京子は笑う。

「また明日なー」



後輩2人と別れた後、京子の足は自然と1人暮らしをしている彼女の家へと向かう。

外からみると部屋の明かりがついている。

(もう、帰ってる……)

なんだか、ちょっぴり、胸が痛い。

理由は説明できない。

チャイムを鳴らすと、部屋の中から声がする。

随分と久しぶりに聞いた気がした。

それくらい彼女のいない部活の時間は長かったのだ。

「京子……」

「お邪魔します」

「……うん」

エプロン姿の彼女は、京子をすんなりと招きいれた。

台所から良いにおいがする。

彼女の得意なオムライスだ。

「手、洗えよ」

「うん」

京子は横着にも台所で手を洗う。

ふと視線を動かすと、既にオムライスが2つ作られているのが目に入った。

「結衣?」

「来ると思ったから」

「……そっか」

彼女は両手にお皿を持つと、オムライスをテーブルへと運んでいく。

京子はその背中についていく。

随分と遠くに背中がある気がした。



向かい合って座ると、気まずい沈黙が流れた。

彼女はケチャップを手に持ったまま、京子にちらちらと視線を向ける。

一方の京子はオムライスに目を落としたままで、決して彼女の方を見ようとはしない。

「今朝の手紙、さ」

「さ、さーて、オムライス旨そうだなー」

したくない話題だった。

自分でも声が震えるのが分かる。

この話は、何かを変えてしまう。

強烈な予感が京子を貫いた。

「あの手紙――」

「聞きたくない」

京子はかぶりを振った。

不意に目の前のオムライスが消えた。

彼女が京子の前から動かしたのだ。

京子のオムライスが彼女の前に移動する。

自然と京子の視線がオムライスを追う。

「あの手紙」

「やめて」

京子は皿をつかむとオムライスを再び自分の前に引き寄せようとした。

しかし、

「……結衣」

皿はぴくりとも動かなかった。

思わず顔を上げた先に、彼女の顔がある。

今にも泣き出しそうな顔だった。

「……京子、ごめん」

京子の視線は彼女の顔に張り付いたまま、動かなくなった。

「ごめん…………って?」

彼女は言いにくそうに口をもごもごと動かした後、頭を下げた。

「私、嫌なやつだ」

「…………え?」

京子はようやく気がついた。

彼女の声は京子のそれに負けないくらい震えている。

「あの手紙、京子宛だった」

「…………」

「私、勝手に手紙を出した人に会って、それで――」

がくんと机が揺れた。

京子の顔が机にぶつかったのだ。

「きょ、京子?」

「……続けて」

京子は机に突っ伏したまま続きを促した。

これ以上聞く必要はなかったけれど、それでも、京子は今、彼女の顔を直視できそうになかった。



彼女が真実を語った後、京子はゆっくりと顔を上げた。

お互いに真っ赤な顔だったけれど、恥ずかしさはなかった。

「あの手紙に負けたくなくて、今日はこれを作った」

彼女はそう言ってオムライスにケチャップで文字を書く。

結衣の作ったオムライス。

想いはきっと、手紙よりもずっと、詰まってる。



了。



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2011.09.24 Sat l SS l COM(0) TB(0) l top ▲

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