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今日はすっごい掃除しました。

全然片付かなかったけれど、お盆までにはなんとかします。

では、つづきをどうぞ。

“ベガ”と名乗る人物からのコメントによると、かささぎの橋姫、というのは地元の女子中高生の間で噂になっているおまじないのようなものであるらしかった。

毎年、7月7日が近づくと、今はほとんど遊びに来る人がいない小さな公園の一角に突如として笹が現れるらしい。

誰がそこに置いているのか知る者はいないが、自らを主張するかのようにゆらゆらと揺れる笹が現れるのだ。

その笹に短冊をつるすことで願いが叶う、それがかささぎの橋姫の噂の発端だそうだ。

彼らがその現場にたどり着いたときには先客がいた。

オレンジを基調にした派手な服をきた男だ。

「おろ? カペラじゃねぇか」

その男は人気のない公園に自分以外の人間がやってきたことに気づくと愛想の良い笑顔を浮かべた。

「何やってんだ?」

カペラは呆れ気味にそう言うと、男の後ろに見える笹に視線を移した。

「散歩だよ」

「こんにちは、アルクさん」

カペラとは対照的にクルイーニャが笑顔で挨拶すると、アルクと呼ばれた男はだらしなく頬を緩めた。

「おう、こんにちは。今日も可愛いね」

「当然です」

アルクは力強くカペラの肩を握ると、しみじみとした声でつぶやいた。

「良いなぁ、お前は。俺も“お化け”の嫁が欲しい」

「……スピカさんが泣くぞ」

スピカというのはアルク、正確にはアルクトゥルスというのだが、の妻のことである。

「あいつは“人間”の中では1番だがなぁ……」

「もったいねぇ」

カペラはため息混じりにそう言うと、笹に近づき、いくつかの短冊を手に取った。

「なんだ、女子高生か、お前は?」

「……たわいない噂話に本気を出す、っていう点では、似たようなもんだ」

アルクもカペラの横にしゃがみこむと、短冊を無造作につかむ。

「もともとは、こういった類の願いが多かったらしい」

アルクはそういうと、自分の手にある短冊をカペラに見せ付けた。

「素敵な恋人ができますように……ね。ありがちっちゃありがちか」

「七夕の願いことだもんね」

クルイーニャは楽しそうにくるくると回ると、他の短冊を覗きまわる。

「ただな、最近はこういうのも出てきている」

アルクは愉快に舞うクルイーニャを尻目に別の短冊を指差した。

「××が痛い目に遭えば良いのに」

そこに書かれている願いを見て、カペラは頬をかいた。

「ま、これはまだ良いほうだな。もっとえげつないのは山ほどある」

「……なるほど、ね」

「こんな、くだらない噂に借り出されないとやっていけない俺の気持ちを分かってくれ」

「なんだ、仕事だったのか?」

「まぁな……」

アルクは不自然に口ごもった。

彼はぱっと見、小奇麗な自由人だが、その実は“自称”私立探偵をやっている。

一応、立場上、依頼人のことは話せないのだろう。

「お前も、仕事か?」

「仕事というか、興味というか……」

「おいおい、まさか本当に“オカルト”なんじゃないだろうな?」

「分からん」

そんな会話を続ける2人のそばにクルイーニャが降り立った。

その顔色は優れない。

「どうした?」

クルイーニャはカペラの問いに小さな声で答える。

「もっと、夢があるものかと思ってた」

それは、短冊に書かれた願いの内容を如実に表す一言だったに違いない。

カペラは不器用な仕草で帽子を押さえ、アルクは不自然に胸ポケットからタバコを取り出した。

気まずい沈黙が、その場を支配する。


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2011.08.07 Sun l 連載小説 l COM(0) TB(0) l top ▲

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