上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top ▲
こんな時間にお腹がすいている。

寝るべきか、食べるべきか……。

とりあえず、更新です。

どうぞ。
「かささぎの橋姫、ねぇ……」

前髪の癖毛を隠すために深めに帽子を被った男が、椅子をぎぃぎぃ言わせながらつぶやいた。

自身のブログに書かれたコメントは簡潔ではあったが、だからこそ彼の目に止まった。

「橋姫って何?」

不意に彼の背後から声が聞こえた。

姿は見えず、声だけが聞こえるように思えるが、それは常識的には正しい。

彼女こそが彼がフリーライターになった一因である。

「橋姫っていうのは、妖怪のことさ。宇治の橋姫っていうのが有名だな。橋を守る女神、嫉妬に狂った女性、愛する人を待つ女性という3つの側面があると言われている。古い歌に、さむしろに 衣かたしき 今宵もや われを待つらむ 宇治の橋姫というのがあってな、ここからは愛する男を寂しく待ついじらしい女性像が見られるが、有名なのは別の物語の方だ。まぁ、いくつか物語はあるらしいが、基本的には嫉妬に狂った女が妬んだ女性、縁者等思うがままに憑り殺していった、というものだな。その嫉妬心の延長からか、愛する者同士を別れさせる存在とも言われるらしい」

「……女って怖いね」

「お前も女だろ?」

「あなたに見えている姿では、ね」

女はふふっと楽しそうに笑うと、その長く艶やかな金髪をなびかせた。

だが、その美しさとかぐわしい香りは彼にしか届かない。

「霊体ってのは都合の良いもんだな」

「というか、そもそも、幽霊やら妖怪やらっていうのはヒトをたぶらかすものなわけだから、たぶらかしたいヒトの好みに合うように変化できるのよ」

「なるほど……」

彼は興味深そうに彼女をじろじろと見つめた後、再びパソコンに視線を戻した。

そして、先ほどのコメントの名前欄をこつこつと指で叩いた。

「で、問題はここだ」

「うん?」

名前欄にはベガと書かれている。

女はゆるりと首を傾げた。

「べーがー?」

「ベガ、こと座のベガ。七夕の織姫のことだ」

「おお、織姫」

「織姫がかささぎの橋について語る、ってのが、無駄にロマンティックだな」

「かささぎって?」

男は呆れたようにため息をついた。

「お前、無知にも程があるぞ」

「だって、こっちに来たの久しぶりなんだもん」

「なんかそのあたりの話にも惹かれるものがあるが、とりあえず今はかささぎの話をしよう」

女はふわりと男の肩に乗っかると、視線で続きを促した。


←前へ
次へ→



駄文同盟.com

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村
スポンサーサイト

2011.08.05 Fri l 連載小説 l COM(0) TB(0) l top ▲

コメント

コメントの投稿












       

トラックバック

トラックバックURL
→http://hungry1spice.blog25.fc2.com/tb.php/283-228b3ef2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。