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お題「生垣」「山」「嘘」


今回は、さらっと。

オチは微妙かと思わなくもない。

タイトルは、ちょっと思いつかない。

では、どうぞ。
生垣の向こうから声が聞こえた。

別に盗み聞きをするつもりはなかった。

あくまでこれは“聞こえた”のである。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「なぁ、聞いたか。Aのやつ、かなり重い病気らしいぜ」

「え? そうなのか?」

「ああ、なんか救急車を呼んだっつうから、急いであいつん家に行ってみたんだ。そしたら、ちょうど救急車に乗せられるところでよ。あいつ、言うんだよ。俺はもうだめだ。多分、今日とも明日とも知れないとかなんとか……」

「本当かよ……おい、俺らで何かできないかな?」

「何かって言ってもな」

「最期にあいつが喜びそうなことをしてやろうぜ」

「ん~。まぁ、そうだな。だったら、あいつ確か読書家だったろ? だから本を贈るってのはどうだ」

「バカか。そんな重い病気なのに、本の山をどっさり持ってこられても迷惑なだけだろ」

「あ、そうか」

「だろ? だから例えば、あいつ、会いたい人とかいないのかな?」

「会いたい人?」

「ああ。最期に一目会いたい、みたいなさ」

「なるほどな。そういえば、こんな話を聞いたことがある」

「ん、なんだ?」

「もう、どんな治療を施しても治らないと言われた病気の持ち主の話なんだが」

「うんうん。それで?」

「どうせ治らないならって思って、そいつ病院を抜け出したんだ」

「なんで?」

「何でも、あまり良い別れ方をしなかった初恋の人に一目会いたかったらしい」

「なるほど」

「それでな、病気の男は初恋の人に会いにいったんだ」

「おお」

「その人は、もう結婚しててな。そいつが彼女の様子を塀の外からそっと窺ってみると、とても幸せそうに笑っていたらしいんだ」

「ふむふむ」

「で、男はその笑顔を見て、心が軽くなるのを感じたわけだ。なんていうか、自分も幸せになった、っていう感覚かな?」

「あ、読めたぞ。それで、病院に戻って検査を受けてみると、病気なんてない健康体だって言われたっつう話か? ありきたりだな」

「ちっ。オチまで言うなよ。……まぁ、そんなとこだ」

「で、それを試してみようってか?」

「まぁそうだ。たとえ気休めであったとしても、最期に会いたいやつに会うってのは良いことだろ」

「そうだな、今のが嘘話でも、火の無いところに煙は立たぬ、っていうし、もしかしたら案外、な」

「ああ。とにかく急ごうぜ。どうやら今夜が山らしいからな」

「そうか、じゃあ、Aが誰に会いたいか調べてみようぜ」

「おう」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ありがたい。

なんて、ありがたいんだ。

僕のために、こんなにいろいろと考えてくれる人がいるだなんて。





ただ、僕は別に今夜が山ってほどの病気じゃあない。

あのときは本当にやばいと感じたから、調子に乗ってそう言ったが、今更本当のことは言えないな、こりゃ。



こりゃ珍しいと思って調子に乗って食いすぎた法螺貝にあたっただけだった、だなんて。



完。


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2009.01.26 Mon l 三題噺 l COM(0) TB(0) l top ▲

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