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お題「灯台」「定規」「料理」


昨日に引き続き、50分いっぱい使いました。

ぎりぎりでした。

最後は、もう無理やりまとめにかかった感じ。

最後の一文書き終えた時点で48分経過……。

これはちょっと書き直したいなぁとか思っているので、時間が許せば、きちんとした形でまた書くかも。

分かりませんが。

タイトルは、

「世界を救う」

では、どうぞ。
――都内某所。



この日、1人の男の運命が狂う。

「……新手の詐欺かなんかか?」

男は突然届いた荷物に首をかしげた。

重量はさほどないが、何かを注文した覚えもなければ、荷送人に心当たりも無い。

ひとつの手がかりとしては、その荷物ともに1枚の封筒もついてきた、ということだ。

男は荷物をあけてしまったら、いろいろ厄介かもしれないが、封筒を開けるくらいなら問題ないだろうと考え、それを破った。

そして、さらに悩みの種をまくことになる。

「……は?」

そこには、こう書かれていた。



あなたは、今日から勇者になりました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



――都内某所。

この日、1人の女の運命が狂う。

「……これって、なんとか商法ってやつじゃないかしら?」

女は突然届いた荷物を怪訝そうに眺めた。

重量はさほどないけれど、何かを注文した覚えもなかったし、親や友人から荷物を送るといった連絡もなかったはずだ。

ただこの不審物にもひとつの手がかりがあった。

荷物ともに1枚の封筒もついてきたのだ。

女は荷物をあけてしまったら、クーリングオフがどうこうとかて面倒になるかもしれないが、封筒ならば開けてしまっても別に問題ないだろうと考え、糊付けの部分をペーパーナイフで切った。

だが、それは彼女をさらに悩ませることになる。

「……えーっと、ええ?」

そこには、こう書かれていた。



あなたは、今日から魔王になりました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



――男、改め、勇者の家。

勇者は手紙を握ったまま固まったように動かなくなった。

そのままトリップしかけたが、隣の部屋から小さな叫び声が聞こえて、我に返る。

勇者は壁の薄いアパートのおかげで、膠着状態を無事に脱した。

危うく、フリーズしたままやり直しになるところだった。

「で、どういうことだ?」

そう独り言ちながら、荷物に目をやった。

多分だが、これを開ければいろいろ解決するはずだ。

「あけよう、か」

そう言い聞かせながら、荷物をあける。

「んん?」

中には、別段変わったものは入っていなかった。

入っていたのは手紙と、服。

「勇者っぽい服だな」

勇者はそう感想を洩らしながら、服を手に取った。

「とりあえず着てみるか」

驚くべきことにサイズはぴったりで、彼は鏡に自分の姿を映してみた。

「なるほど、確かに勇者だ」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



――女、改め、魔王の家。

魔王は手紙を握りしめたまま、荷物に視線を移した。

「よく分かんないけど、興味をそそられることは確かね」

魔王は先ほどまでの疑念を消して、湧き上がる好奇心を発揮し、荷物に近づいた。

「あけよう」

そう呟いて、荷物をあける。

「おお?」

中には、手紙と衣装が入っていた。

「悪役っぽぉい」

魔王は嬉しそうにそう言い、少し露出の多い衣装を手に取った。

「これは着るしかないわね」

自分の体型にやや不安のあった魔王だが、どうやらサイズはぴったりであったらしく、彼女は胸をなでおろした。

それから鏡の前に立つと、何パターンかポーズをとった。

「ふはははは。貴様が勇者か」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



――勇者宅

「で、何々?」

手紙には以下のように書かれていた。



勇者様。

あなたの使命は、魔王を倒すことです。

何か武器を手に持ち、魔王を倒してください。



「って言われてもな……」

勇者はため息をついて部屋を見渡した。

6畳ほどの部屋に些細な家具。

武器と呼べるものなど何もなかった。

それよりも、魔王って誰だ、という話だ。

「魔王、ねぇ……」

勇者はベッドに倒れこむ。

と、それの反動で布団に乗っていた何かが跳ねた。

「ん?」

勇者は視線を動かして、跳ねて床に落ちていくものを目で追う。

「ああ、そうか」

勇者は合点した。

確か、先ほどまでベッドに寄りかかって勉強していたのだ。

普通の定規が見つからずに、代わりに使っていた三角定規をそのときにベッドに放り投げたことを忘れていた。

「三角定規ねぇ。武器にならなくはない、か」

勇者は三角定規の先端部分を自分の額に刺してみた。

「痛いけど、地味だな……」

勇者はそうぼやくと、むくりと起き上がり台所に足を運んだ。

「武器っていや、やっぱ刃物……か?」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



――魔王宅

「う~ん?」

手紙には以下のように書かれていた。



魔王様。

あなたの使命は、やってくる勇者と戦うことです。

別に勇者を倒してしまっても構いません。



「って言われてもねぇ……」

そもそも、勇者って誰よ、という話だ。

「勇者かぁ」

魔王は言いながらベッドに倒れこんだ。

ぬいぐるみが、その反動で倒れた。

「さぁ、かかってこい勇者」

魔王はぬいぐるみを掴むと、それに向かって言った。

「お前が魔王か。俺はお前を倒して世界に平和をもたらすんだ」

「勝つのは私だ。貴様を倒して、世界を暗黒の渦にうずめて――」

ベッドの上に立ち、のりのりで1人2役を演じていたためだろうか、「うずめて」の部分で魔王はベッドから足を踏み外した。

「きゃぁ!!」

魔王は無様にもぬいぐるみを押しつぶす形で床に落ちた。

「痛いけど……わ、私の勝ちだな、勇者よ」

魔王は身体を起こしながらそう言い、はぁ、とため息をついた。

「バカみたいなことやってないで、そろそろ夕食の準備をしないと……」

魔王は唐突に現実に引き戻され、台所に立ったのだった。

衣装は結構気に入っていたので、その上からエプロンを着て、包丁を持つ。

それから妙なリズムをつけて、野菜を切り始める。

「今日のご飯はぁ、今日のご飯はぁ、肉じゃがぁ」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



――旅立ちの時

なぜか今日は隣の部屋がいやに騒がしい。

突然、自作の歌を歌いだすことはよくあったが、それにも増して今日はテンションが高いらしい。

勇者は、う~ん、と伸びをすると先ほど台所でチョイスした包丁を手に玄関へ向かった。

「待てよ」

そこで、足を止める。

こんなものをもって外に出たら、ほぼ確実に逮捕されるのではなかろうか。

勇者は、うう、と唸ると、再び台所に引き返した。

「何か、こう、持ち歩いていてもそれほど違和感がなくて、それでいて攻撃力のありそうなもの……」

勇者は戸棚を開けたり閉めたりして、お目当てのものを捜す。

そして、見つけた。

「うん。これならまだまし……だよな」

勇者は、とある調味料のビンを手に、外に飛び出した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



――決戦の時

「醤油がなぁーい」

魔王は醤油が空なのに気づいたために、財布を手に外に出た。

近くのコンビニに向かうのだ。

それと同時に、隣の部屋のドアが開くと音が聞こえた。

確か、隣に住んでいたのは、優しそうな男の人だった。

そう思いながら、一歩踏み出す。

そして、出会った。



財布を手に持ち、サンダルを履いたエプロン姿の魔王。

RPGからそのまま飛び出してきたのではないか、と思える衣装を着て何かのビンを手にした勇者。



「あ」「おお?」

勇者と魔王は同時に声を出した。

勇者はエプロンの下に、変な衣装を着ている目の前の女の姿を見て、何かに気づいた。

「……ま、魔王?」

言われた魔王は、にやりと笑うと財布を振りかざして、大声を上げた。

「ふはははは。よく来たな、勇者よ」

「え、あ、はい」

いまいち乗り切れない勇者は、手に持っていたものを背に隠した。

それに感づいた魔王は、すばやく勇者が手にしていたものを見抜き、にやりと笑った。

「勇者よ、今隠したものはなんだ?」

「え? あ、えーっと、いや、これは……」

魔王を殴るために持ち出したとは言えず、勇者は焦る。

まさか魔王が女だとは思っていなかった。

さすがの勇者も女を殴ることには抵抗を覚える。

しかも、その魔王はアパートの隣人なのだ。

まさに、灯台下暗し。

捜す手間は省けたが、これではご近所関係に障る。

「隠さなくとも良い。私にはわかっておる」

魔王は、うんうんと頷きながら、財布を持っていない方の手を差し出した。



「お醤油、貸してくださぁい」



時間が止まったかに思えわれた。

ぽかんと口を開けた勇者は、おずおずと家から持ち出した醤油のビンを手渡す。

「ど、どうぞ……」

「ありがとう」

魔王はそう言って、部屋に戻ろうとし、足を止めた。

「あ、そだ」

そして、勇者の方を振り向いて、

「お醤油を貸してくれたお礼に、ご飯食べていきますか?」

と言った。

「え?」

勇者は開いていた口をさらに開けることになった。

「ご、ごちそうになります」

コンビニ弁当ばかりで過ごしていた勇者は、だいぶ久しぶりの手料理だな、と思いながら、小さく頭を下げた。





かくして、平和は守られたのである。



完。


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2009.01.25 Sun l 三題噺 l COM(0) TB(0) l top ▲

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