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童話集 銀河鉄道の夜 他十四篇 (岩波文庫)童話集 銀河鉄道の夜 他十四篇 (岩波文庫)
(1966/01)
宮沢 賢治

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初めて読んだのは小学校のころだったと思います。

ということは、通算で3、4回は読んでいる計算。

まぁ、これは有名なやつなんで内容を語るまでもないですよね。

特に、この「銀河鉄道の夜」に関しては、少しググってみても
幾つか考察サイトがあるようですし、そういったものはそちらにお任せして、

私は、最も気になる「ザネリの性別」について考えたいわけです。
で、今回読んだのが、これ。

銀河鉄道の夜―Level 2(1300‐word) (洋販ラダーシリーズ)銀河鉄道の夜―Level 2(1300‐word) (洋販ラダーシリーズ)
(2005/07)
宮沢 賢治ステュウットAヴァーナム‐アットキン

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英語版。



なぜ、これを読んだか。

単純に、英文に触れる時間を増やすために、緩いのを読もうと思った、というのもあるのですが、

英語版ならザネリの性別が分かりますよね。

主語が「he」か「she」か、ということです。

結果としては、主語は「he」でした。

やっぱ、そうだよな。

と思いました。

正直、少し落胆もしました。

私も銀河鉄道の夜を一読したときには、ザネリは男だと思いましたとも。

でも、今思うに別に女でもそれほどおかしくはないと思うわけです。

ただザネリは多分イタリア人の名前なんだろうけれど、男性にも女性にもありうるんですよね。

だから、そこからは判断できない。

よって、文章から想像(妄想)の翼を広げます。

特に気になるのは、4章の部分です。



町かどを曲がるとき、ふりかえって見ましたら、ザネリがやはりふりかえって見ていました。(引用)




これは実に面白い一文。

ザネリがジョバンニに対して、何らかの興味を抱いていることは明白といえるでしょう。

ザネリはジョバンニのことが気になっているといえるかもしれません。

もっと言えば、ジョバンニも振り返っているわけですから、ジョバンニもザネリを気にかけているといえます。

ただ、気になっている、というのは、良い意味だけではなく、悪い意味の場合もあります。

つまり、「さっさとどっか行けよ」っていうことで睨みつけていた可能性も否定できませんし。





でも、ザネリが女の子だったら、だいぶイメージの変わる作品になりますよね。

(単純にザネリに「萌える」だけかもしれませんが)

先生の問いに答えられないジョバンニを振り返って、くすっと笑うところや、

他の子たちがいる中でも真っ先にジョバンニに悪口を言うところなんか、

もはや、好きな子に意地悪したくなるという子どもならではの特性としかいえないでしょう。





しかし、そんなほのぼのした物語ではないんですよね、これは。

ザネリはカムパネルラに救われます。

もっと言えば、ザネリを助けたカムパネルラは命を落とします。

いったい、その後、ザネリはどのような心境で過ごすのでしょうか。

それはザネリの性別がどちらであるにせよ、大きな引っ掛かりとなるでしょう。



では、宮沢賢治は何故、ザネリにこの役回りを与えたのでしょうか。

私の記憶が正しければ、確かカムパネルラ=賢治の妹、ジョバンニ=賢治のイメージのはずですよね。

ということは、ザネリにも誰かモデルがいるのではないでしょうか。

あるいは、ザネリもまた残された賢治自身なのかもしれません。

ジョバンニとザネリは、あまり共通点のない存在で、ややもすると真逆のタイプに思えます。

しかし、彼らは似た痛みを経験します。

ジョバンニは、死者が天国に行くために乗ると思われる銀河鉄道に乗る唯一の生者です。

そして、彼は何人もの“死”を目の当たりにして、最後にカムパネルラと別れます。

ザネリは現実にカムパネルラの“死”を見た、いえ、感じたはずです。

自分を助けてくれたのに浮かんでこないカムパネルラ。

ザネリもまた、ジョバンニと同じように“死”を見ました。

2人ともがカムパネルラという1人の人間を介して、つながります。

そういった意味で、ジョバンニとザネリの関係性は、その後の物語で大きな変動を迎えたかもしれません。




途中から、性別論を逸脱しましたが、銀河鉄道の夜を考える上で、ザネリは大きなポイントといえるでしょう。

他にも、ブルカニロ博士の件や、ほんとうの幸の意味、それから、ジョバンニだけが銀河鉄道に乗れた理由など、
考えれば考えるほど物語は深くなっていきます。





そういったところが、今なお読まれ続ける一冊である理由の1つなのかもしれません。

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2008.12.27 Sat l 読書感想文 l COM(0) TB(0) l top ▲

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